大川小学校の悲劇、釜石の奇跡から学ぶ津波てんでんこの重要性

2019年4月11日

東日本大震災の津波によって校庭にいた78人の児童のうち74人が犠牲になった大川小学校。

市内の小中学生のほぼ全員が無事避難した釜石市。


『大川小学校の悲劇』と呼ばれた大川小学校と、『釜石の奇跡』と呼ばれた釜石市。この対称的な2つの被災地には、一体どのような違いがあったのか。

悲劇が起こってしまった原因、そして奇跡を作った理由を学び巨大地震に備えましょう。
二度と悲劇を繰り返さないために、そして奇跡を作るために。

悲劇と奇跡から学ぶ正しい防災知識

大川小学校で悲劇を生んだ原因と対策

学校側が正しい避難行動を指示できていれば、全員助かっていたはずの大川小学校の児童たち。

地震発生から津波到来まで51分もの時間があったのに、なぜ先生たちは正しい避難行動を指示できなかったのか。

そこには誰もが陥ってしまう『過信』があったのです。


【ここまで津波は来ないという過信】

大川小学校はハザードマップ上で津波避難所に指定された小学校でした。

宮城県が作成した津波浸水予想図を見ると、大川小学校が津波の浸水予想範囲から1Kmほど離れていることが分かります。

大川小学校浸水予測

しかし東日本大震災によって発生した津波は、予想を大幅に超える範囲を襲いました。

実際に津波で浸水した範囲

今となっては裏山に避難していれば助かっていた、700m離れた高台に避難していれば助かっていたなど言われていますが、はたして当時の状況で正しい判断ができるものでしょうか。

2018年7月に200名を超える犠牲者を出した西日本豪雨でも、特別警報で避難した住民の割合はたったの4.6%でした。

「ここまで津波がくるわけない」「ここは安全だ」という過信こそ、災害による被害を大きくする要因です。

こうした悲劇を二度と繰り返さないためには防災を学ぶしかありません。

徹底した防災教育が命を守るのです。

釜石市の奇跡から学ぶこと

大川小学校とは対照的に、約3,000人いる小中学生のうち99.8%の生徒が助かったのが釜石市の小中学生です。

ニュースや新聞では“奇跡”という言葉で紹介される釜石市ですが、決して奇跡でもなんでもありません。防災研究者の片田敏孝教授による必死の防災教育と、それを実践した釜石市の成果です。

ではどのような教育を行っていたのかというと、次の3つの原則を徹底的に指導されていました。


● 想定にとらわれるな

● 最善を尽くせ

● 率先避難者たれ


第一 「想定にとらわれるな」
これはまさに大川小学校の悲劇のことを現しています。
ハザードマップを信じてはいけない、安全だと思われる場所にあったとしても油断するなという教え。

第二 「最善を尽くせ」
津波は小さいかもしれない、大きいかもしれない、予測はできないものなので常に最善を尽くして行動しろというもの。
もし一時的に避難したとしても、そこが危険になるかもしれないので、その場所に固執することなく、より安全な場所へと避難しろという教え。

第三 「率先避難者たれ」
一番最初に自分で判断して逃げれる人間になれというもの。
人はどうしても周りの人の動きを見て、自分の行動を決めてしまいます。
どうして良いのか分からずに踏みとどまるのではなく、率先して避難する勇気が結果として多くの人を救うことになる!という教え。


これらの3原則を徹底的に学んだ釜石市の成果を“奇跡”という言葉で終わらせてはいけません。
大川小学校のような悲劇を繰り返さないためにも学んでいきましょう。

津波てんでんこの教え

津波の教訓に『津波てんでんこ』という言葉があります。
これは津波が来たら家族のことにも構わず、自分一人で安全な場所へ避難せよという避難のあり方を意味する言葉です。

この言葉を表面的に受け取ると冷たい印象を抱くのですが、本質は津波から避難する上でもっとも大切なことを教える言葉なので説明します。

① 津波が来たら、とにかく避難するように強調しています

② 逃げる姿を見せることで、他の人に避難を促進します

③ 自力で避難することを共有して、信頼することで、探しに行って被害に遭う人を防ぎます

 

『津波が来たら、全力で避難する』

全員が津波の脅威を知り、全力で避難すれば、きっと大きな地震が来ても最小限の被害で抑えることができ奇跡をおこせるはずです。

そのためにも『津波てんでんこ』『津波の3原則』を学び、広めていきましょう。